格安SIM(MVNO)とは何?通常の携帯電話サービスとの違い

近年、格安SIM(MVNO)という単語を耳にする機会が増えています。日本ではNTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクモバイルが国内で携帯電話サービスを展開していましたが、格安SIM(MVNO)事業者が参入したことで多種多彩な携帯通信サービスが増えました。今回は格安SIM(MVNO)について解説します。

格安SIM(MVNO)事業者は既存の携帯通信網を借りて通信サービスを提供

格安SIM(MVNO)は、既存の携帯通信網を借りて通信サービスを提供している事業者のことです、以前は仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)、略してMVNO事業者と呼ばれていましたが、最近では格安SIMや格安スマホと呼ぶことも増えています。

日本では、冒頭に記載したとおり、NTTドコモを始め、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの3社が中心となって国内の携帯電話サービスを展開していました。一時は、イー・アクセス傘下のイーモバイルが携帯電話サービスに参入しましたが、ソフトバンク傘下となったことでY!モバイルブランドでサービスを展開しています。

格安SIM(MVNO)事業者は、自前で通信網を持たない代わりに、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクが整備した通信網を借りることで、顧客に通信サービスを展開しています。そのため、携帯電話事業者が保有する一部の帯域を借りて、顧客に配分することで、通信料金を安く提供することが可能となります。

格安SIM(MVNO)事業には、ビッグローブやOCNといったインターネットサービスプロバイダ(ISP)サービスを展開している事業者の他、これまで通信と縁がなかった総合スーパーマーケットを展開するイオンも参入しています。

格安SIM(MVNO)事業者はSIMカード単体の他、携帯端末セットでサービスを提供

格安SIM(MVNO)事業者は、これまでSIMカードと呼ばれる契約情報を書き込まれたICカードのみを提供して、利用者自身で端末にSIMカードを挿入して使って貰う形でサービスを提供することが多かったことから、格安SIMとも呼ばれています。

携帯電話やスマートフォンを使う場合、携帯電話通信サービスの契約情報については、携帯電話端末本体に書き込まれているわけではなく、SIMカードに書き込まれていますので、契約情報が書き込まれたSIMカードがあれば、原則として好みの携帯端末に差し替えて使うことができます。そのため、各自で携帯端末を調達しておき、後で格安SIM事業者を選んで契約することができます。

ただし、日本では契約上の関係上、異なる通信事業者で使えないよにするためにSIMロックが実施されている端末が多くありますので、格安SIM(MVNO)事業者でSIMカードを調達する場合は、使いたい端末にSIMロックが実施されていないこと、もしくは、格安SIM(MVNO)事業者が使用する回線が使える端末を選ぶ必要があります。

関連記事

近年、格安SIMカードと呼ばれる単語を耳にする機会が増えていますが、そもそもSIMカードとは何か気になっている方も多いかと思います。今回は、SIMカードの特徴と概要を解説します。SIMカードは携帯電話の個別契約を認識するICカード[…]

最近では、端末メーカーなどからSIMロックがなしSIMフリースマートフォンの取り扱いも増えており、好きな端末で、自由に通信事業者を選ぶことができるようになりました。また、複数の通信事業者が使える格安SIM事業者も増えており、複数の通信事業者を電波状況によって使い分けることも可能となっています。

日本国内で人気があるApple製のスマートフォンiPhoneの他、中国の華為技術製のスマートフォンなど台湾や中国メーカーの端末性能も高くなっている他、安価で調達できることなどから、格安SIM(MVNO)事業者が独自に仕入れてSIMカードとセットで販売することも多く見かけるようになっています。

大手通信事業者の料金に比べ半額以下の料金で利用可能

格安SIM(MVNO)事業者では、大手通信事業者の料金に比べて半額以下の料金で利用することができます。

大手通信事業者で音声通話とデータ通信を包括した一般的な料金形態であれば6,000円から8,000円ほど毎月支払うことなります。一方で、格安SIM(MVNO)事業者を利用することで、音声とデータ通信を利用する場合、データ通信量6GB程度であれば1,500円から2,000円で利用できます。

現在、音声通話が定額で利用できるプランも増えていますが、格安SIM(MVNO)では、音声通話定額は利用できず、代わりに格安SIM(MVNO)事業者が提供しているIP電話サービスや通常の電話番号に指定する番号を不可することで通話料金を抑えるといったことができます。

また、格安SIM(MVNO)を利用することで、大手通信事業者3社にはない、特徴的なサービスを提供していることも多く、料金だけではなくサービス内容もしっかり確認した上で事業者選定を行なう必要があります。

 

主な格安SIM(MVNO)事業者

日本国内で展開している格安SIM(MVNO)事業者を4社紹介します。

BIGLOBEモバイル

BIGLOBEモバイルは、大手ISP事業者であるビッグローブが提供する格安SIM(MVNO)サービスです。ドコモ回線とKDDI(au)の両回線を使うことができます。ドコモ回線で利用する場合の料金は、音声通話付きであればデータ量3GBまでのプランで1,400円、データのみは900円から利用できます。音声通話は最低利用期間として12ヶ月に設定されていますが、データ契約のみであれば最低利用期間無しで利用可能です。

 

回線NTTドコモ、KDDI(au)
月額料金音声通話付:1,078円(税込)~、データ通信+SMS:1020円~、データ通信のみ:900円
最低利用期間音声通話のみ最低12ヶ月(12ヶ月以内は契約解除料として1,100円が必要)データ通信は設定無し

OCNモバイルONE

OCN モバイル ONEは、NTTグループのNTTコミュニケーションズが提供する格安SIM(MVNO)サービスです。信頼のNTTグループが提供している他、同じNTTグループのドコモ回線が利用できます。月額料金は音声通話付きであれば月額1,180円から、データ通信のみであれば880円から利用できます。また、同社が提供しているモバイルIP電話さらに、光回線とセットで利用すると200円割引も適用できます。

回線NTTドコモ
月額料金音声通話付:1,100円~、データ通信+SMS:1,000円~、データ通信のみ:880円
最低利用期間音声通話、データ通信ともに最低利用期間の定め無し

イオンモバイル

イオンモバイルは、大手総合スーパーマーケットを展開するイオングループが提供する格安SIM(MVNO)サービスです。音声通話付のプランは月額1,243円(税込)から、データ通信プランであれば月額528円(税込)から利用できます。また、1回線で複数の端末で利用できるシェアプランであれば1,958円(税込)から利用できます。イオンモバイルでは全国にある200店舗以上のイオンで相談や契約ができます。契約の縛りも無く解約料が不要な他、長時間通話が多い方にも嬉しい、月額1,650円(税込)で050かけ放題が利用できます。

回線NTTドコモ、KDDI(au)
月額料金音声通話付:1,243円(税込)~、データ通信のみ:528円(税込)~、シェアプラン:1,958円(税込)~
最低利用期間音声通話、データ通信ともに最低利用期間の定め無し

mineo

mineoは関西電力グループのオプテージが提供している格安SIM(MVNO)サービスです。通信事業者はNTTドコモの他、KDDI(au)とソフトバンクモバイルと3社使えるのが特徴です。通信料金は、KDDI(au)回線を利用する場合は、音声通信付きのプランは1,290円(税込)から、データ通信のみは880円(税込)から利用できます。同社は店頭でも契約手続きや相談ができるように、実店舗を全国に200店舗以上展開しています。

回線NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク
月額料金音声通話付:1,290円(税込)~、データ通信のみ:880円(税込)~
最低利用期間音声通話、データ通信ともに最低利用期間の定め無し